六鹿宿

介護保険発足直後から介護の世界で働いている僕が見たり聞いたり感じたことを綴っています。

じいちゃん ばぁちゃんダダダダ~ン!

1990年代後半、僕は未だ学生の身。うだるような暑い夏のある日。
その日、友人にお婆ちゃんのお見舞いに誘われて隣町の病院を訪れた。
6人部屋のカーテンで仕切られた空間の一角に、彼女のお婆ちゃんは横たわっていた。
見た目にも分かるぐらいのフケや垢。匂いも普通じゃない。お婆ちゃんは死んだ魚のような目をしている。「こんにちは」と声をかけてはみたが、何の反応も見られない。
周りに目を移すと、ベッド柵に手を縛られて点滴を受ける老人。車いすから立ち上がることが出来ないようにベルトで固定された老人。隣からは、ほぼ絶叫に近い声も聞こえる…
「動物園よりも劣悪な環境だな。よくこんな所に…」
口には出さなかったが、自分の身内をこんな所に入れている友人に対して心の中で悪態をついた。


これが日本で生まれ育ち、懸命に生きてきた人々のなれの果て。


数日後、なんちゃってロックバンドで作詞を担当していた僕は、この体験をベースに一曲を書き上げた。
タイトルは「じいちゃん ばぁちゃんダダダダ~ン!」
今思えばふざけたタイトルだ。歌詞にしても、相当にふざけている。
「じいちゃんばぁちゃんダダダダ~ン!
介護だ福祉だダダダダ~ン!
姥捨て山に捨てられて!(Hey!)
じいちゃんばぁちゃんダダダダ~ン!」


そんな僕が数年後、介護業界に足を踏み入れることになる。介護保険が始まった翌年のことだった。


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