六鹿宿

介護保険発足直後から介護の世界で働いている僕が見たり聞いたり感じたことを綴っています。

過ぎたるは、なお及ばざるが如し。

以前の記事で中庸が大切だということを記した。
孔子の「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という有名な言葉は中庸が大事だということを教える。


言葉の意味は「やり過ぎは、あまりやらないのと同じくらい良くない。」と言うことらしい。
孔子が、弟子の質問に対して放った言葉。現代風に、そのやり取りを描写すると…
弟子「A君とB君は、どっちが優秀ですか?」
孔子曰く「Aは何でも仕事が早い、Bは仕事が遅いね。」
弟子「じゃあ、A君の方が優秀なんですね。」
孔子曰く「いや、そうじゃない。Aは何でもやり過ぎてしまう。やり過ぎは仕事が遅いのと同じくらいダメなことだ。何事も謙虚な姿勢が大切だからね。」
弟子「えぇ?!A君もB君も、どちらもダメってことですか?」
孔子曰く「そう。何事も中庸が大事なんだ。やり過ぎの人は控えめな心を持つ必要があるし、その逆の人は努力して前に出る必要がある。だからAもBも同じだよ。」


例えば、正直者は素晴らしいが「正直すぎる」とあらぬ所で人を傷つけてしまう。
真面目なのも美徳だが「真面目すぎれば」心に病を得ることもあるだろう。
話上手な人と一緒だと楽しいが「喋り過ぎる」と辟易される。
行動力に優れた人は見ていて頼もしいが「動きすぎれば」せからしい。
なんでも、ほどほどにしなければ美徳であるはずのことも、そうでは無くなってしまうようだ。


職場などの組織でも、きっと同じようなことが言える。
若いころ、僕は「やり過ぎ」な方の人間だった。
仕事の出来ない人間に対して、イライラし、叱責し「なんで、こんな事もできないんだ!」と罵倒し続けた。そして不真面目な人間や意見の言えない人間を軽蔑していた。
真面目過ぎで、喋り過ぎの、せからしい人間だった。


これじゃあダメだと気づいたのは30も半ばを過ぎてからだったと思う。
罵倒しても、相手は委縮するだけで、物事は何も好転しない。
けれど、今でも時々、部下の失敗に対して叱責してしまう自分が居る。頭の悪い上司には噛みついてしまう。そんな時、心で唱える「中庸…中庸」って。まだまだ僕も未熟者だ。


何事にも謙虚でありたい。テキパキと仕事をこなすのは良い。でもそれを人に押し付けたり、やり過ぎて組織の和を乱したりするのは、良くない。
チームの和を尊びながら、中庸の精神で前へ進めば、きっとチーム力は向上していくはずだ。
明日からも、それを忘れずに頑張ります。

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