六鹿宿

介護保険発足直後から介護の世界で働いている僕が見たり聞いたり感じたことを綴っています。

こんなはずじゃなかっただろ?

仕事は楽しい方が良い。
そりゃそうだ。


けれど、仕事は苦しいことも多い。
苦しくなって、逃げたくなることだってある。


それでも人として生きて、自らの営みを全うする為には、働かなきゃならない。
働くからこそ、人としての社会的役割を果たすことが出来るのだから。


であるならば、仕事は楽しい方がやっぱり良い。どうせ働かなければならないのなら。


そうして、ふと考える。


介護職は楽しいか?それとも苦しみの方が随分と多いのか?



昔はそんなこと…考えたことも無かった気がする。
介護職として働いて、一生懸命になって働いて、もちろん苦しいことも、あっただろうけど、そんな風に、楽しさと苦しみを天秤にかけて考えることなんて無かった。


いつの間にか、それが、変わって行った。歳月の過ぎ行く中に、不確かな確実さで。


つまらない御託を並べる上司や、陰鬱な表情で働く部下の狭間で。
詐欺的な介護保険と、厚労省の机上の空論の波間で。
高齢者への世間の無理解と、生きることの意味を見いだせない若者たちの隔絶の下で。
あるいは、世界が老いて縮小する時期にあって今尚、肥大することを夢見る欺瞞に満ちた誇大広告に取り込まれて生き続けた末に。


こんなはずじゃなかっただろ?


歴史にいつか、僕たちは、否応なく問い詰められる。


濁った光を放つ太陽の、その真下で。






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