六鹿宿

介護保険発足直後から介護の世界で働いている僕が見たり聞いたり感じたことを綴っています。

寝てる間に時は疾風の如く。

相変わらず僕は、僕自身の問題を処理しきれずにいる。

この仕事自体は、やはり好きなのだと思う。


大好きなお年寄りが居て。癒されて。

そう言う時間は、本当にかけがえのないもので。


だけど、今の日本の老人福祉を取り巻く状況はあまりに酷すぎて、そしてそのことで職場を離れる人間が多すぎて…正直、辛い気持ちに引っ張られてばかりだ。


人の足りない現場は、悲惨だ。

正直に言うと、癒してくれるお年寄りばかりが居るわけでは無い。

大声で叫び続ける。立てばこけるのに立ち上がる。汚物を平気で触る。杖で叩く。

好きになれないお年寄りだって沢山いるわけで、それでも分け隔て無く平等に介護をすることが介護職には求められる。


お金をもらって働いている訳だから、ある程度プロとしての意識を高めればそれは然程の苦痛にまでは至らない。けれど、そういう意識で働く前に潰れていく若者が多いのも現状で…どうプロ意識を養ってもらうかが大きな課題となってくる。

だけど、介護のプロを育てるには日本の介護の現場は脆弱過ぎる。人も、人材も足らなさすぎる。だからプロ意識も育たないままに、虐待が発生したり、バーンアウトや離職が生まれていく。


そしてその現状を目の当たりにするうちに、このままこの仕事を続けていて良いのだろうか。そんな気持ちが僕の心をどんどん、どんどんと急速に支配していく。



悪い考えに心が支配されるときは、寝て待つのが良い。

だから僕は眠ることを選択し、眠り続けた。


けれど、目が覚めたんだ。


苦しんでいるのは僕だけじゃない。この仕事が好きで悩んで燃え尽きそうで、だけど、それでも踏ん張って頑張っている仲間達が居るから。だから僕は目を覚ました。


理想の介護から遠のく現状が目の前に広がっていたとしても、心が折れない限り、支えてくれる人が居る限り、前に進むしかないんだよ。


時間は疾風のように流れ過ぎて行く。その疾風は未来を過去へと押しやって、取り返せないほど遠くへと押し流して、時間そのものを思い出や歴史に変えていく。

だから、そう。もう寝てばっかりも居られないんだ。


寝てばかりいると、いつの間にか思い出や歴史の中でしか生きることが出来なくなるから。そしていつか、未来を掴む力すら失ってしまうから。


だからそろそろ目を覚まして、小さくとも一歩、前に踏み出そうと思う。

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