紫
紫色が嫌いだ。
なんだか公家っぽいし、冠位十二階では上の方だ。
けれど、ときどき僕の唇は紫色になる。
寒かったり、プールに入ったり。
そんな時、僕の唇が紫色に変わる。
唇を引きちぎって、地面に叩きつけたい衝動に駆られながら、あぁ、僕の唇は紫なのだとため息をついてみる。
そうして古代の高貴な色に対して僕はますます嫌悪の気持ちを強くする。
よし、それならこの紫を熱湯に浸けてやろう。
そうすれば紫は、一気呵成に赤へと変貌する。
けれど、それはとてつもない痛みを伴う。
やっぱり、それは止めておこう。
仕方が無いから紫で我慢しよう。痛いよりはマシだろうから。
だから明日は絶対、プールには入らないでおこう。
そして明日も暖かい日でありますように。