六鹿宿

介護保険発足直後から介護の世界で働いている僕が見たり聞いたり感じたことを綴っています。

ユニットケアは持続可能か?

僕は現在、小規模特養で働いている。
10床ワンユニットで2つのユニットがあり定員が20名。
従来型の大規模特養のサテライト施設として2008年に立ち上げた。
介護業界に入って、まずはショートステイで新人時代を過ごし、そして従来型の大規模特養へ異動。そして小規模特養開設に伴いオープニングスタッフに選抜され、立上げの時から現在の職場で働き続けている。
入職してから、いつもいつも「これからの施設ケアはユニットケアだよ」と聞かされ続け、ショート時代でも小グループ化(50名のお年寄り3つのグループに分けてケア)を推進。従来型特養でも介護単位を小さく分けて、それぞれに専属の職員を配置するユニットケアの前身的な取り組みを行っていた。
そして2008年。新しくユニットケアを標榜する全室個室の新型特養を開設。
従来型みたいに長い廊下は存在せず、中央に食事をするリビングを配して、そこをお年寄りの居室がグルッと囲む形の施設。

このころが一番、夢にあふれていたなぁ
だって、働き始めてから、ずっと言われ続けるん。「ユニットケアこそがお年寄り一人一人に寄り添える、個別のケアを追求できる最良の形」だって。
だから「本気でやりたいケアを追求できる!笑顔の溢れる施設を作るぞ!」って意気込んでいたわけ。
でも、そんなに甘いものでは無かった。

確かに従来型と比べて、個々のお年寄りと過ごす時間は増える。10人しかお年寄りがおられないのだから、それはそうだ。空間的にも小さい訳だから、半径10m以内の範囲で食事も排泄も、入浴だって
完結することが出来るので、導線的な無駄も少ない。

個室だからプライバシーの確保も容易で、ご家族の面会も従来型と比べて数倍多い。
ユニットケアのメリットは沢山ある。


けれど、それを全て帳消しにしてしまうデメリットが存在する。
それは「人」…つまり「職員」だ。


ユニットケアにおいては従来型とは比較にならなくらい「職員が一人で判断しなければならない場面」に遭遇する。
従来型はお年寄りの人数も多い分、職員が複数で対応する場面が多い。(例えば50名のお年寄りに対して5人で対応。)しかしユニットケアは少数のお年寄り(僕の施設で言えば10名)に対して、たった一人で対応しなければならない場面が多いということだ。
だから、職員全員がユニットケアの本質をしっかりと理解し、個別ケアを追求できるだけの力量を持ち合わせているならばユニットケアは間違いなく、お年寄りに施設における最良のケアを提供することができると断定的に言える。しかしどこの事業所でも、そうだと思うが職員個々には、それぞれの置かれた立場やモチベーション、それに介護技術においても大きな「差」があるのだ。
だから職員Aの出勤日は、素晴らしいケア提供ができるが職員Bの出勤日はボロボロってなことが実際に起きる。特に夜勤はそれが最も甚だしい、夜の22時から朝の7時までの時間帯、職員は完全に一人になるからだ。
それに、介護業界の人材不足が言われ始めてから久しい。
そうなるとやはりユニットケアは持続不可能なんじゃない?と思う訳。
だって、人手不足ってことは崇高な理念を持ってケアに取り組むことのできる職員ばかり集めることが不可能ってことでしょ?普通のおっちゃんとかおばちゃんが介護を担わなければならない時代が来てるってこと。普通のおっちゃん、おばちゃんでも介護ができる環境って、要はお互いに相談しあって何とかつなぐことのできる従来型施設の方でしょ?


想像してみてください。認知症のお年寄り10名がいらっしゃるフロアにあなたは、ただ一人です。
立ちあがれば確実に転倒するのに突然立ち上がる人。トイレに行って5分も経たないうちに「トイレ連れて~」と訴える人。食事を食べ終えて間もなく「飯食わせ!」と怒鳴り始める人。
突然ののど詰めや嘔吐、多量の出血…普通に起こります。
そんな場面を一人でなんとかしなければならないわけです。それがユニットケア。
そんな場面でも、複数の職員で補いあえる状況にあるのが、従来型の大規模施設。


進むべき方向性ははっきりしてると思いますけどね。



ただ、もう一つ言いたいことは「ユニットケア」にも大きなメリットがあるということです。
適切な職員数を配置できるのであれば、絶対にユニットケアの方が良い。
一人ぼっちで抱え込む時間を極力排することができるだけの職員配置。それを実現できるのが一番だとは思うんだけどね。そうすると財源が…って話になるよね。難しいですね。


特養入所待機者数50万って言われてるけど、施設から在宅へって流れは変わりそうもないので、その辺も含めて施設ケアは衰退の道を辿るのだろうか?
まぁそんな中でも頑張っちゃうけどね! ではでは。



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