桃源郷
ユートピア、シャングリラ、桃源郷。
夢みたいな、心地が良くて、不快とは無縁の世界へ。
行ってみたいと、誰もが思う。
現実逃避。今いる世界から、逃げて離れる。
けれど現実は、簡単に今居る世界から離れることを許してはくれない。
何故…。
それは、何故か。
双肩にかかる責任か?
人としての矜持か?
自己防衛か?
隣人愛か?
それとも、あきらめか?
結局、明日も明後日も、その先の未来であるこれからも、今居る世界に身を置いて、多くの人々が生き続ける。良識という範疇の中で。
逆に、今居る世界に疑問を持たない生き方が、実は最も幸せなのかもしれない。今に満足して居れば、そこに安住しているだけで幸せなのだから。
今居る世界から、逃げて、新しい世界に身を置く。
桃源郷は、実在するのか?
あるいは、そんな場所は存在しないのか?
行ってみなけりゃ、一歩を踏み出さなければ、それを発見することは決して出来ない。
けれども敢えて言うならば今を受け入れることも、実は必要なのだろう。
今、置かれている場所。
そこで生きて、苦しみを克服し、悲しみに立ち向かい、喜びを見つけること。
難しく考える必要なんて無い。
一生懸命に生きる。ひたむきに、今の自分を受け入れる。
ただ、それだけ。
誰かが、必ず。そんな自分を見てくれている。