六鹿宿

介護保険発足直後から介護の世界で働いている僕が見たり聞いたり感じたことを綴っています。

介護って。そんなものは。

僕が若かったころ。
確か、主演はジャニーズ事務所所属のアイドルだったと思う。「芸能人は歯が命」ってCMが巷に流れていたころ、彼の笑顔の隅で光る白い歯が異様に眩しかったのを覚えている。
「ナースマン」というドラマが放映されていた。どこの局だったかは覚えていない。


男性の看護師が奮闘するコメディータッチのドラマ。

正直に言うと、その頃の僕には男性が看護職をするということ自体が理解できなかった。
看護なんてものは、男のする仕事では無いと感じていたのだ。


同じような理由で、介護職をしている男性。そんなものは軟弱な人間でしかなく、ほかに適当な仕事を見つけることが出来なかった男の流れ着く職場が介護業界だと思っていた。

そんな僕が、数年後には介護職の仲間入り。
資本主義社会の荒波に飲まれて、癒しを求めていた僕の目の前に現れた介護という職場。すがるような思いで飛び込んでみたが…。
最初は、周りの友人に「老人ホームで働いている」ということを伝えることすら恥ずかしかった。


そんな僕だからこそ、敢えて言おう。


介護の職場は、男だろうが女だろうが一生を捧げ、本気でぶつかっていくに足りる、崇高な場所だ。
プロ意識を持って、取り組めばそこでしか得られないもの。充実感、社会的有用感、人生的達観、様々なものを得ることができる。


介護の仕事の魅力は?って聞かれれば、僕は即座にこう答える。
「お年寄りや、そのご家族に感謝してもらえる。そして人の役に立てているという充実感がある。」という良くありがちな答えでは無い。
「お年寄りと人生の最期の時を共に過ごすことで、その人生の物語に触れることが出来る。その物語に触れることで、自分の生まれた意味や、自分の周囲の人々と繋がっていることの大切さや尊さを本当の意味で知ることが出来る。」だから、この仕事は魅力に溢れ、自分の人生観を変えてしまうほどの力を持っているのだと。
僕たちは、自分や自分の親が老いて、いずれ死んで行くことを知っている。
でも、それはリアルにでは無い。
頭の中では分かっていても、どこか遠い先の未来のようで朧げだ。


だが、この仕事は「人の死」に大変近い。しかも90年や100年の時を生きた「人の死」
そこには人生の物語が溢れている。
そこに触れることのできる感覚。これは実際にこの仕事をしてみなければ分からない。
さぁ、あなたも。介護の扉を叩いてみませんか?
トントントン、もしくはもう少し力強くドンドンドン!って。


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